それにしても…暇。
携帯が使えたら…まぁ、遊ぶより助け呼ぶよね。
こういう時は適当に雑談に限る。
「悠くんはサッカー大好きだよね」
「え?はい。大好きですよ」
「昔から?」
「からって言うか、昔は本当に単純にサッカーが好きでしたね。でも途中で嫌いになりかけた時もありましたよ」
悠くんは幼い頃からサッカーをやっていて、小学校の高学年になるまでは単純に好きだったらしい。
高学年になり、クラブに入って、期待されたり、妬まれたり…そういうことがあって、嫌いになっていたとか。
中学生になると、サッカー部に入ったのはいいものの、レギュラーになるとまた期待と妬みが悠くんの悩みになった。
それから、あまり練習に行かなくなる。
レギュラーから外してもらうためと、サッカー部の皆と会いたくなかったから。
でも、それがマイナスの方に向いて「練習もろくに来ない奴がレギュラーだ」と、妬みは更に大きくなった。
部活で練習はしていなかったものの、自主練はしていたみたいで、その時声をかけられた。
「1人で練習か?」
「………」
「俺も一緒にやっていいか?」
「…どうぞ」
声をかけたのは柊也。
中学生の時、柊也はサッカー部に入っていたらしい。
だから、2人は知り合いだったわけだ。
「なぁ。お前はなんで練習に来ないんだ?」
「…別に。行きたくないからです」
「なんで?」
「嫌だから。…期待されたり、妬まれるのが。俺はただサッカーがしたいだけなんです」
「ふーん…レギュラーが嫌なのか?」
「いえ、レギュラーは嬉しいです。でも…実力以上に期待されるのは嫌いです」
柊也は問いかけたくせに興味なさ気に返事をした。

