薄暗い廃墟のビル。
立ち入り禁止と書かれた看板は地面に落ちていた。
柱にロープで縛られ、体ごと動けない。
「…静音先輩、大丈夫ですよ。俺がなんとかします」
「悠くん…」
「呑気に弁当の中身でも考えててください」
「え。お弁当の中身…?」
呑気すぎるよ、それは。
この状況で考えれることじゃないでしょ。
「なんですか、その目は…」
「悠くんはこの状況でお弁当の中身を考えれるの?」
「えぇ。そうですね…卵焼き、唐揚げ、ミニハンバーグ…まぁ大体定番ものですかね。わぁ、今食べたいかも」
…本当に呑気だ。
演技とかじゃなさそう…欠伸してるし。
「悠くん、本当にこの状況わかってるの?」
「まぁ。なんかドラマみたいですよね!あーあ…俺、助ける側が良かったのになぁ」
「わかってないでしょ…」
どうも悠くんのキャラにはついていけない。
いい子なのか、意地悪なのか、真面目なのか、ふざけているのか。

