悠くんは一瞬、驚いた顔を見せたが、すぐにいつものように笑った。
作り笑いじゃない、見たかった笑顔。
「静音先輩には敵わないみたいです。惹かれる理由がわかったかもしれません」
「ひかれる…?」
「そこは気にしても気にしなくてもいいですよ」
「え?え?」
気にしたほうがいいのかな。
いや、気にしないほうがいいってこともあるし…
なんで微妙な答え方をするの悠くん。
「静音先輩、約束してください」
「約束?」
「俺はもう無理に作り笑いはしない。だから、静音先輩は俺を庇わない、いいですか?」
「駄目です」
「は?」
「庇わない、なんて無理だよ。無意識だからね」
「……本当におもしろくて変な人ですね。多分、いい意味で」
「多分なの!?」
そこ大事だよ!
多分だったら、もしかしたらただの変人になるよね!?
「じゃ、俺が静音先輩を庇いますね。何かあったら」
「うーん…それならまぁ…」
「じゃあ、決定です」
私の小指を自分の小指で絡ませ、指きりげんまんをされた。
「針千本飲ます」の部分が「焼きそばパン奢る」になっていた部分にはあえてつっこまないでおこう。
そして家に帰りついた私がお母様にひどく叱られ、可哀想なことになったのは予想した通りだった。

