部室から鞄を持ってくると、校門には悠くんが待っていた。
私が駆け寄ると鞄を持ってくれる。
「えと…もしかして怒ってる……?」
「怒ってます」
「えぇっ!?」
私、何かしたっけ!?
庇ったよね!庇った以外、特に何もしてないよね!
ま、まさか…ジャージを私に貸したくなかったんだけど、しょうがなく貸した的な。
それが嫌だったみたいな!?
「どうして…庇ったんですか」
「え?ど、どうしてって……」
あれ。
どうして、と聞かれるとわからない。
当たり前のことだから、じゃ答えになってないし。
かかりたかった!なんて、なんというマゾ発言。
違う、違う…。
「わからないけど、庇いました。足が勝手にですね…はい。ごめんなさい…」
「…わからない、勝手に、って……変なの」
悠くんはクスッと笑う。
また間違えた発言をしてしまったのか、私。
「静音先輩、庇ってくれてありがとうございました」
「え、うん。どういたしまして…?」
「でもこれからは庇わないでくださいね」
「どうして?」
「俺がかっこ悪いから」
かっこ悪い…って、庇われたらかっこ悪いんだろうか。
「私はそう思わないけど?」
「女は男が守る、これよくある台詞です」
「うん」
「だから、女に守られるのは嫌なんですよ。男としては」
「うん…?」
よくわからないけど、プライドってやつ、かな?
「悠くんはどうしてあんな事されてるの?」
「さぁ…。妬ましい、とか。1年の俺がレギュラーになったことが」
それであんな事するって…低レベルすぎる。
悔しいならたくさん練習したりすればいいのに。
練習してレギュラーになれないならまだしも、練習しないでっていうのが納得いかない。
「でもまぁ、慣れましたから大丈夫ですよ。だから俺に関わらな」
「無理に笑わないで」
「え?」
「だから作り笑いしないでって言ってるの」
昼休みに話す時と違う笑顔。
どう見ても無理してるし、そういうのは嫌い。
「私の見たい笑顔は昼休みとかに悠くんがしてる笑顔だよ。そんな作り笑い、見たくない」
サッカーの話をしている時の顔、とっても楽しそうに話してくれる。
そのくらい大好きなんだってわかる。
それにからかったりするときの笑顔のほうが断然いい。

