伊藤はつまらなさそうな顔をして、携帯を受け取る。
「…なんだよ」
「お兄さん、あたしと話してる時と声が違うなって」
自分的には全く変わっていなかったと思うが。
「もしかして真夜に気があると」
「あるわけないだろ」
「ちぇっ…つまんなーい」
口を尖らせ、机にうなだれる。
「それじゃあな」
「えぇっ行っちゃうのー!?誰か来るまでいてよー!!」
俺の袖を引っ張り、引き止めてくる。
が、こいつの相手をしている暇なんてない。
「俺は用事があるんだ」
「あたしウサギさんだよ!寂しいと死んじゃう!」
「知らねぇよ」
あぁ…本当に変な奴と絡んでしまったな。これは。
「うぅっ…お兄さんはあたしを放って行くのね……うぅっ………」
顔を伏せ、泣いているかのような声を出す。
まぁ、泣いていないようだが。
無視をし、部室を出た瞬間、また腕を引っ張られた。
「泣いてる子放っておくの!?」
「泣いてないだろ」
「なぜばれた…!?」
「下手くそ」
「もーっ!お願いっお兄さん!構って!寂しい!がちで泣いちゃう!」
「……はぁ」
相当な構ってちゃんみたいだ。
部活だし、すぐ人もくるだろうから…いいか。
「わかった。誰か来たら行くからな」
「やったぁー!お兄さん大好き!!」
「抱きつくな……」

