早くも円さんが引っ越す当日になってしまった。
円さんとはあれから話してない、というより会っていない。
違うクラスってだけで会う機会がないってどんだけこの学校は広いんだろうか、と改めて感じた。
「浅井さん。成、もう2週間近く来てないんやで。俺はどないしたら…」
毎日のように部室に来ては、悩みを話す中西くん。
まぁ全部同じ内容だけど。
「中西くん、あれから月森くんの家に行った?」
「んや。なんか追い返される度に傷つくやんか……」
「意外に傷つきやすいタイプなんだね」
「意外じゃないわ~。俺、ガラスのハートやで」
「あはは、あんまりそういうのは女子の前で言わないほうがいいかもね」
「えぇっ!?何それ!?どういうこと!?」
「そういうこと」
中西くんは首を傾げながら考え始める。
てきとうに言ったつもりだったんだけど。
「もう何もかも分からんわぁ…」
「よしよし。大丈夫だよ、私がなんとかしてあげるから」
なんとなく、中西くんの頭を撫でると、見上げてきた。
「あかんわ…今、浅井さんに惚れそうになった」
「今、惚れる要素なかったよね」
呆れながら中西くんを見ていると、おもいっきりドアが開けられた。

