開いている門から数メートル歩いた所が玄関。

外から見ても、庭とかも中々に広い。


「じゃ、俺は帰る」

「はっ!?帰り迷ったらどうす……いや…うん…」


来た道も分からないくらい方向音痴なのか、こいつ。

どんだけ世話がかかるんだ。


「…ここで待ってる。早く行ってこい」

「え、本当!?」

「本当」

「それじゃ、行ってくる」


ぱぁっと明るくなり、入って行く。

なんて分かりやすい奴…。


「…ぅ……柊也ぁ……」

「え」


まだ30秒もしない内に帰って来た。

しかも、表情はさっきと真逆。

いかにも泣き出しそうだ。


「なんなんだ、お前…」

「…犬……犬が…いた…」

「犬?」


犬がいたら悪いこととか……あるか。

確か犬が嫌いとかなんとか喚いて、気を失ったことがあったな。

そのせいで夢だったとか抜かした…。