「ななな、なんでやっ!!成がおかしい!!」
「「うるさい」」
「…すまん」
昼休み。
奏十と俺に注意され、肩を落とす中西。
朝、月森が早退してからずっとこういう状態だ。
はっきり言って迷惑。そしてうざい。
こいつはどんだけ月森が好きなんだよ。
「だっておかしい思うやろ?朝は普通で、転校生来てから……そや!てんこうせ」
「あの…」
「うわっ!転校生!!」
「え…すみません。そんなに驚かせてしまうとは……」
今のはオーバーにリアクションした中西が悪いだけだと思うが。
転校生は困惑気味ながら、月森の机を指さした。
「あちらに座っていた方のお名前は?」
「ん?月森成やで」
「……そうですか。教えて頂き、ありがとうございました」
丁寧にお辞儀をし、自分の机に戻っていく。
微かながら「やっぱり」と聞こえた気がした。
……まぁ、俺には関係ないことだと思うけど。
「…一ノ瀬、話聞いとる?」
「あ?何も聞いてない」
「せやから、浅井さん連れて成ん家行こう」
「勝手に行ってくれば?」
なんで俺が行かないといけない。
「大貴、お前は部活があるんじゃねぇの?最近サボってたらしいけど」
「あ……。サボり過ぎて忘れてた……」
「行かないと怒られるんじゃね?」
「せやな…でも成……あぁっ…でも怒られるのは嫌やわ……」
ぶつぶつと悩み出す。
「……よし。部活行こう!!」
結局は自分が一番なのか。

