月森くんの顔は「え」と言ったまま、口が開きっぱなしだった。
だんだんと握られていた手の強さが弱くなっていく。
「あっ、えっ違っ…」
「…僕のこと嫌いですか?」
「う、ううん!!嫌いじゃないよ。ただ、ほらっ!私としては、今日初めて会ったわけだし……」
「あ、あれや。成も初対面の人にいきなり告白されたら戸惑わへんか?それと同じや」
「そ、そうそうそう!!」
「なるほど…確かに」
月森くんは納得した様子。
中西くんのフォローのおかげで助かった。
「それじゃ、少しでも早く僕のことを好きになってもらえるように努力します……ね」
「ぁ、ぅ…えっ………」
「いきなり大胆すぎるやろ…」
やられた。完全に。
生まれてこの方、頬にキスをされたことなんて勿論、一度もない。
でも、今日が1回目とカウントされた。
顔だけが凄く熱く感じるのが分かる。
うん…きっと、真っ赤になってるに違いない。私の顔。
「…おい、月森。誰か来てるぞ」
「成様。遅かったので、お迎えに上がりました」
「おぉ。そうか。…では、また明日。浅井さん」
そう言って、メイド服を着た人と一緒に部室を出て行った。
「ってか、浅井さん。大丈夫か?おーい」
「これだけで放心状態か?こいつ」
「……いたっ!」
後ろから頭にデコピンをくらい、どこぞへと逝っていた意識も戻ってきた。

