あふれそうになる涙をこらえながら、女神は唇を開きました。

「私から、あなたたちにお願いがあるの」

女神の願いは、ただ1つ。

「前を向いて、生きて欲しいの…」

女神の目から、一筋の涙がこぼれました。

それでも、女神は続けます。

「狂い始めてしまったこの世界は、いい方向へ進んで行くどころか、悪い方向ばかりへと進んで行く。

私の力では、どうすることもできないくらいに」

女神は悲しそうに目を細め、たんぽぽを見つめました。

泣いている彼女を慰めるように、たんぽぽは揺れます。