凍え死んでしまうくらいの寒い日々が続いていた冬。

そんな日々は終わりを迎えました。

温かい日差しがまぶしい春。

名前のない広い通りを抜けたところに、小さな広場がありました。

その広場には、1人の女神がいました。

女神はこの小さな広場を1人で守っていました。

今日は、女神が我が子のように育ててきたたんぽぽの旅立ちの日。

「あなたたちも立派になったわ」

女神は地面に視線を向け、たんぽぽに話しかけました。

黄色い花からフワフワした白い綿毛になったたんぽぽ。