始業式があると言うことで体育館へ移動。

その途中、見えたあの桜。


思わず、立ち止まる。


そして思い出していた。

今から約半年前。

寒さが厳しくなり、冬へと近づく、そんな季節のこと。



*****



いつものように6時間の授業を終え、部活の時間。

私と碧はちゃんと、マネージャーの仕事を続け、

今やルールもスコアも完ぺき。


最近は寒くなってきたせいで、

ボールを触る前にグラウンドでランニングとダッシュを念入りにやるようになっていた。


グラウンドに碧だけを残して、

私はよーたくんと練習に必要な道具を取りに校舎の中へ入った。


渡り廊下に差し掛かり、

2人とも、足を止めて見下ろす。



「なあ、奏?」


「なんですか?」


「桜…好きか?」


初めて会った、入学式のあの日と同じ質問。



「好きです。

っていうか今さらそれ、聞きますか?」


「いいだろ、聞いてみたくなったんだから」


よーたくんは少しむっとした顔をしたあと、ふっと笑みを零す。

そんな表情に少しドキッとした。