ヘンな人だったなあ…

そんなことを思いながら琴音の教室の前まで来る。


でも、まだホームルーム中で。


何して待ってよう…

そう思った時、あの光景を思い出した。



階段を下りて裏庭に行く。

そこには朝見たあの桜があった。



「…キレイ」


上から見た桜もキレイだったけど。

でも、こうして間近で見る桜はもっとキレイだった。



「桜、好き?」


「…え?」


突然、声がして。

驚いて振り向くと、そこには入学式で寝そうになっていたあの、先生がいた。



「桜、好きなの?」


「あ…はい」


「そっかー

俺も好きなんだー」


そう言って笑った名前も知らない先生が。

なぜか、眩しくて。


風が吹く。

桜が舞う。

あなたが笑う。


…どうしてだろう。

先生から目が…離せない。