「ねー、奏ちゃん?」


「え…気持ち悪い」


グサッと何かが刺さった気がしたが、気にしないように笑顔を浮かべる。


「今年はくれる?」


「何を?」


「手作りチョコ」


そう言うとなぜか肩を思い切り叩かれる。

しかも結構な痛さ。

なんで俺、叩かれたんだ?


「うわっ!よーたくん、意外に積極的~」

隣にいた碧に茶化される。


「積極的にもなるだろ!

奏のチョコがうまいっていうのは前から知ってんだからな!」


一昨年、去年と奏は俺のチョコをくれなかった。

碧と一緒に部員に配ってるのは見た。

で、最後に碧は俺のところに来てチョコをくれたけど。

でも奏はなぜかくれない。


「なんでチョコ催促するんですか!

だいたい手作り限定ってどういうことですか!?」


「だってうまいの食べたいじゃん!」


スイーツ男子…という碧の呟きには触れなかった。

なぜなら、その通りだから。

俺は甘いもの大好きなスイーツ男子なのだ。