ていうか私は2人のノロケ話を聞くためにこんな所まで連れてこられたのね。
帰ってもいいかなぁ。
「それに、俺がちゃんと葵を育てておかないと母さんが怒るからな」
「何言ってんの。私は父さんに育てられた覚えなんてないよ」
むしろ私が父さんを育てているような気がする。
ご飯はほとんど私が作ってるし、ほんと感謝してよね。
「すまんなぁ。父さん不器用なんだ」
「…いいけど、別に」
こうしてダメ男といるのだって、楽しくないわけじゃない。
「帰るか」
今度は差し出された大きな手に、ちょっと笑ってしまう。
さっきまでエスコートもしてくれなかったのは、どこの誰だったっけ。


