私がそんな思春期の悩みにふけっているのにも知らず、父さんはお母さんとの思い出を次々と語りだす。
「ここでな、俺と母さんは出逢ったんだよ。あの時俺はティッシュ配りのバイトに精を出していた…」
多分父さんの中ではすごくいい思い出なんだろうが、それにしてもその前振りはダサい。
ティッシュ配りって。
「母さんはその時からあまりにも美人な人だったよ。ティッシュを配っていた俺は、理想が現実になって目の前に現れたものだからびっくりしてなぁ」
確かにお母さんは美人だ。
私の理想の大人だ。
「いやぁ、父さんものすごい焦っちゃって。とりあえず持ってたティッシュを全部その人に渡したんだ」
お母さんきっと迷惑だったろうな…。
心の中でお母さんに同情する私とは裏腹に、父さんは一人で照れてニヤニヤしてる。
キモいとか言ったら怒られるけどさ。


