「モクレン?」
首を傾げる私に、父さんは穏やかな声で教えてくれた。
「そう。中でもこれは白いだろう?だから、白木蓮っていうんだ。
蓮の花に似ているからこの名前が付いたんだよ」
チューリップじゃないじゃん、とふてくされる私を父さんは軽々と抱き上げた。
「でも俺は、蓮の花よりチューリップに似てると思うぞ」
私がまだ幼稚園ぐらいの頃、母に言われたことがある。
こんなに娘の意見を尊重してくれるお父さんなんて他にいないわよ、って。
その時はお母さんが父さんにベタ惚れだからそう思うだけだと思っていたけれど、あながちそうでもないようだ。
小学3年生になってもう9年間父さんと暮らしていることになるけれど、今まで私の意見を聞いてくれなかったことはない。
いつもちゃんと耳を傾けて、間違っている時にはやんわり注意してくれる。
癪だけどいい部分もあるんだよね、これが。


