「…これが花見ぃ?」
私は父さんに連れてこられた場所で、呆然と立っていた。
だって花見といったら普通は桜をみるでしょう。
でもこれはどの角度から見たって桜じゃない。
「そうだ、綺麗だろう?」
父さんは何だか自慢そうに微笑んでいる。
こっちはとんだ期待外れだというのに。
「きれいだけどさ、これ、桜じゃないよ。白いチューリップが木の枝にひっついてる」
「おぉ、なかなかいいことを言うな」
さすが俺の娘だ、と言って父さんが私の頭をなでる。
やめろ、あんたの手はざらざらしてるから苦手だ。
「これはな、木蓮という花なんだ」


