今までの学校と別れる日。
辛くなったから逃げてしまっただけ。
自分に甘い自分を変える日。
生まれ変わる日。

「他の学校でも頑張ってね!」
そんなようなことが書かれた寄せ書き。
そんな文の下には覚えの無い子の名前。
そんな私、高崎なつみ。中学1年生。
私は学校で浮いていた。
友達も出来なかった。
というより友達なんて要らなかった。
だけどそんな私の想いを変えた本があった。
私のような子が生まれ変わるっていう本。
単純にそれに憧れただけ。
だから自分を変えようと想った。
だけどもうこの学校では変えられない。
二度と過去は変えられない。
その過去を隠すかのように、私は転校という道を選んだ。
「今日から変わる。変える。頑張る。」
自分に言い聞かせてやっとこれた学校。
別に頭のいい学校でも頭の悪い学校でもない。
普通に過ごせばいい・・・。
私ならできる・・・きっと。


「じゃあ教室の皆に挨拶してね」
まだ名前も知らない先生が
私にそう指示する。
「はい」
そう言って声を高くあげ、笑顔を作った。
前夜のうちに笑顔の練習はした。
完璧。
ドアの前で深呼吸。
これから私は変わる。
このドアの前には何があるんだろう。
ドキドキしながらドアを開けた。
目の前には沢山のクラスメイトの人達。
私は黒板の前に立ち、礼をする。
「高崎なつみです。これからよろしくお願いします」
これ以上に無いような笑顔を作った。
・・・多分作れてると思う。
礼をして少し乱れた髪を直してから
先生に指示された席に座った。
これからどんな生活が送れるのだろう。
わくわくしながら席に座った。