強い光が収まると同時に杏里に異変が起きた。


「身体が光ってる…?!」


沖田は目を見開いて驚く。


あぁ、そうか。タイムリミットか。
来た時と同じじゃん。


「総司、お別れ見たいだ。」
「は?何言って…。」
「ごめんね、何もしてあげられなくて。ごめん…っ!」


堰を切って涙がこぼれた。


「近藤さんや土方さんに、力になれなくてごめんって伝えて。」


急に私が消えたらみんなどんな顔するだろう。
びっくりするだろうな。
新八とか平助は泣きそう。意外と涙もろいし。
近藤さんにはお礼をちゃんと伝えたかったなぁ。
土方さんにも。いろいろ迷惑かけたし。


「総司、ありあがとう。」
「行くなよ、杏里っ!行かないでっ!」


必死に抱き留める沖田を裏切るように、光は強まり杏里の身体を透かしていく。


「探し出してくれるんでしょ?」
「うん。」
「どれだけ時間がかかっても会いに来てくれるんでしょ?」
「うんっ…!」


いつの間にか沖田の目からも涙が流れていた。


「見つける。必ず見つけて、また俺の恋人になって、その時は一生ずっと俺の傍にいて欲しい。」
「もちろん、ずっと総司の傍にいるよ。生きる時代が違っても心はずっとここにある。」
とんと沖田の胸を押し返す。


次の瞬間、光が強まり杏里の姿が消えていく。






愛してる――。
また、会うその時まで。





風に吸い込まれるように杏里の声が消え去った。
一人残された沖田。
杏里が消えたことに未だ実感がわかない。


「杏里―――。」


消えた空をぼんやりと見つめる。
その後、皆に杏里が元の時代へ帰ったことを知らされる。