だが、気付けば時計は13時を指していた。
休憩時間は残り30分となった。
「ごめん。
あたし行かなくちゃ。」
阿紗子は係の仕事があるので靴を履いて行ってしまった。
馬場さんとあたしの二人が、小さなスペースに残された。
「滝沢先生、」
「どうしたの?」
ちょうど阿紗子が見えなくなった。
「この前は変な相談してごめんなさい。」
「北条先生の事?」
比較的小さな声であたしが尋ねると、馬場さんは首を縦に振った。
「でも、滝沢先生に話せたから大分気持ちが楽になりました。
ありがとうございました。」
馬場さんはこちらを見てそう言ったが、視線はすぐに違う方向に動いた。
阿紗子がいた時もずっとそうだった。
彼女が何処を見ているかは、その視線が向く方を見ずとも分かった。
その時の彼女の表情は、色々な要素を含んでいた。
それを見たあたしの心にもどかしさが生まれた。



