「でも馬場さん、一人なの?」
「え?」
「否、お友達と食べたりしないのかなって思って。」
弁当箱が広がり、座って食べ始めた頃である。
阿紗子がふとそんな疑問を彼女にぶつけた。
だが、あたしは何となくその答えが分かったような気がした。
「友達は皆あっちに行っちゃいました。」
彼女の視線の先には、大量の女子と北条昴がいた。
「行かなくて良かったの?」
「はい。
なんていうか、ああいうキャーキャー言ってる集団の中に入るの苦手で…。
それに、何か嫌なんです。
北条先生が見世物みたいで。」
馬場さんは弁当箱に視線を移した。
「そうなんだ。」
阿紗子も納得したのか箸を動かした。
言われてみればそのような気もしてきた。
確かに彼は眉目秀麗であるからそんな風になっても仕方ないとは思う。
それでも、本気で彼に恋してる人ならば、その光景に気分を害しても不思議ではない。
あたしはもう一度彼を見た。



