そして例の“人狩り競争”が始まって間もなく、ある一人の女の子がこちらに来た。
「里田先生!
すいませんが来て下さい!」
「え!?
俺!!」
「はい、『学校一の男前体育教師』って書いてるように見えるんです!」
そう書いてある紙は、汚い字だったが、確かに彼女が言った内容が書かれてあった。
明らかの戸田の字であった。
そしてあたしの記憶が確かならば、この学校の体育教師は皆お爺さんで、最も若いのが戸田だったはずだ。
という事を、あたしは阿紗子と話していた。
「でも、太一がいてあの子良かったよね。
命繋げたも同然だよ。」
「?
阿紗子いいの?」
「太一が他の子と手繋いだから?」
「うん。」
もし真幸が他の子と手繋いだら、あたしだったら嫌な気持ちになるだろう。
「まあ良い気はしないけど、あの子の命と悲痛を考えると許せるかな?」
阿紗子はそう言ってニッと笑った。
高校生の頃の阿紗子を見ているようだった。