空は海のようであった。


その海の下では青春真っ只中の少年少女が走り、声を掛け合い、そして笑っていた。


今日が体育祭のこの運動場は大盛り上がりである。


「にしても本当に懐かしいね。」


「だよね。」


あたしと阿紗子は、教員席の方で100m走を見学していた。


ちょうど今それが終わったのである。


「妃奈、次の競技何だった?」


「えっと次はね…」


そこには初めて見る競技名が載っていた。


しかもこれまた物騒である。


「“人狩り競争”だって。」


「?
その名前誰が付けたの?」


「あたしもそれ聞きたい。」


“借り物競争”ならぬ“借り人競争”なら聞いた事あるが、“人狩り競争”は初めて聞いた。


「戸田だよ。」


あたし達の後ろには里田君がいた。