それはよく晴れた土曜日の昼下がりであった。


雲一つ無い青空の下、あたしは阿紗子達と共に長い棒を運んでいた。


真夏ではないが、夏に向かっているこの時期の午後はやはり暑い。


それでも明後日の体育祭を楽しくする為に、体育委員を先頭に多くの生徒が体育祭の準備に取り掛かっていた。


教育実習生であるあたし達も、学校からジャージを借りて準備に励んでいた。


昔と変わらないデザインのジャージを身に纏うと、あの頃に戻れたようでとても楽しかった。


「一旦止まって下さい!」


棒の先を持つ先頭の男の子の合図と共に、全員ピタッと動きを止めた。


それからあたし達の運んだ棒は入場門としてそこに立った。