馬場さんとあたしは、風通しの良い体育館にいた。


暑さも凌げるそこには、他の生徒は見当たらず、女二人だけがいた。


あたしは何だか違和感を感じた。


誰もいない放課後の体育館の裏…告白みたいじゃないか。


「どうしたの?」


ここはあたしから話しかけるべきだろうと思った。


「今から言う事、誰にも言わないで下さいね。
北条先生にも。」


「…うん。
勿論言わないよ。」


「滝沢先生、あたしね」


馬場さんは真っすぐにあたしを見た。


「あたし、北条先生のことが好きなんです。」


グラウンドから部活動をしている生徒の声がここまで聞こえた。


だが、それは馬場さんの声が届かなかったという言い訳には使えない。