あたしは教卓の前で、また教室を見回した。


クラス全員の表情を、一人一人見るように、ゆっくりと丁寧に。


それからあたしは話を始めた。


「三週間、皆には本当にお世話になりました。
皆に優しくしてもらえた事、感謝してます。
教師になりたいって夢だけ持って教育実習に来たあたしは、この仕事の大変さや求められる事を少しは学んだつもりです。
でもそれ以上に、皆も含めて、沢山の生徒と触れ合い、授業もさせてもらって、教師になりたいと前よりも強く思いました。
実習に来るまでは、好きな英語を活かした仕事をしたいっていう考えと、そんな英語の楽しさを伝えたいって思いだけで、この仕事をしたいと思っていました。
でも、実習を通して他の理由も出来ました。
あたしは、たった三週間しか皆と接してないけど、皆が好きです。
真面目で良い子ばかりで、本当に素敵なクラスだと思います。
そんな子達と一年間、願わくば三年間一緒に過ごして、勉強や部活、行事、色んな事をやっていきたいです。
そんな風に思えたのも皆のおかげです。
本当に感謝してます。
皆はまだ二年生だけど、もう暫くしたら受験モードだと思います。
学生だから勉強は疎かにしたらいけないけど、高校生活も目一杯楽しんでほしいです。
勉強と他の事を両立するって簡単な事じゃないけど、頑張って下さい。
三週間、ありがとうございました。」