そうかもしれない。


学生の頃なら、クラス全員の顔と名前を覚えて、これから一年間宜しくってところだろう。


だが三週間しかいないあたしは、そうして皆と仲良くなれたかなって思っても、すぐにいなくなる。


それが少し切なく思えて、あたしは物思いに耽るかのように遠くを見つめた。


遠くといっても、見えるは廊下の突き当りだ。


改めて、終わりがすぐそこまで迫っている事を思い知らされた。


「開けていいか?」


ほんの少し考え事をしている間に、あたし達は教室の前に着いてしまった。


「…一瞬待って下さい。」


あたしは一度深呼吸をした。


心の整理がついたとかではないが、落ち着いた。


「すいません。
お願いします。」


「おう。」


北条先生はドアを開けて、中に足を入れる。


あたしもつられるように教室に入った。