「妃奈はここで話してるわけにはいかないんでしょ?」


「うん。
あたし行くね。」


「滝沢さんって大変だな。
毎日こんな時間に来て北条先生の手伝い?」


「うん。
大変って言えば大変だけど、勉強になるよ。」


「やっぱり妃奈って偉いね。
良い先生になるよ。」


「俺もそう思う。
って…俺らも負けてらんないよな。
頑張ろ!」


「本当にそれ!
これからも頑張らなきゃ。」


「あたしなんか大した事ないよ。
…そろそろ行くね。
ごゆっくり。」


あたしは荷物を持って、部屋を出ていく。


「妃奈!」


阿紗子がこっちへ寄ってきて、耳打ちした。


「あたしもダブルデートしたいんだから。」


顔を離しすと、阿紗子が口角を上げていた。


「了解。
ありがとう。」


あたしは応接室を出た。