「妃奈!」


「阿紗子!
今日は早いんだね。」


「今日で最後だから、早く来ちゃった。」


阿紗子にそう言われても、本当に今日で最後なのかと疑ってしまう。


来週からも、またここに来てしまいそうだ。


三年間通い、また三週間この道を歩いた。


これで終わりなんて、少し信じがたい。


「妃奈さ、覚えてる?
卒業式の日に妃奈が何て言ったか。」


「何言ったの?」


「明日からも制服着て登校してそうって言ったの。」


そういえば、言った。


「今ほぼ同じこと考えてた。」


あたしの頭の中は、あの日から何にも変わってないのだろうか。


そう考えると情けなくなる。


「マジで!
やっぱり妃奈だね。
昔の妃奈のまま。」


「あたしが成長してないみたい。」


「そいう意味じゃないよ。」