台所に着くなり、吸い寄せられるように冷蔵庫の前まで行くと、そのドアを開ける。


あたしは目の前のお皿に手を伸ばした。


晩御飯の残りに違いないと思ったわけではない。


だが、そうであってほしいと願った。


案の定、そのラップがかけられたお皿の中には晩御飯のおかずと覚しきチャーハンが入っていた。


そしてラップのど真ん中には大きなメモ用紙が貼ってある。


『これは妃奈の分だから、起きて気付いたら食べなさい。
あと、寝るならちゃんとベッドで寝てよね?
結構心配なんだから。

玲奈』


布団もチャーハンも、やはりお姉ちゃんだった。


「ありがとう。
いただきます。」


あたしは小声でそう言うと、お皿を電子レンジに入れた。


二分経った頃に取り出して、食べ始める。


熱くて美味しかった。


家族の温かさが体中に浸透していく。


お父さん、お母さん、それにお姉ちゃん…感謝の言葉しか出てこない。


「ありがとう。」


まだ二階で寝ているであろう3人に向かって、またもや小さな声で言った。


聞こえないだろうけど、今はこれで。


あたしはまた自室に戻った。