それは夏が始まったばかりの、まだ柔らかさを残す日の光が注ぐ部屋の中、


「何て言うの?」


「親友なら分かるでしょ?」


「分からないよ。」


「うん、同じように未来も妃奈の気持ちを完全には理解してないと思うの。
だっていくら仲良しでも自分じゃないもん。」


阿紗子はそう言って、鞄から手帳を取り出し、何か書き始めた。


「未来に相談するなら、何て言われたか教えて。
その時にこの答えを発表するから。」


「うん。」


「お昼食べよ。」


「そうだね。」


それは少しずつ動き出した。


まだ「伝える」という始まりさえ終えていないが。