「無理するな。」


「…」


北条はそう言ったが、俺は必死に気持ちを押し込めようとする。


「馬鹿な事したな。」


俺は独り言のように言う。


まさか馬場ちゃんが…


色んな事が予想外だった。


馬場ちゃんが北条を諦め、日本から離れる。


ありかよ、そんなの。


俺は掌に爪を立てる。


様々な色が混ざって生まれた切なさは、縄の如く胸を締め付け、刃物の如くそれを抉る。


こんな事なら、もっと積極的になってもよかった。


馬場ちゃんが北条にそうしてたように。