「北条先生…」


俺は何歩か歩み寄る。


「こんばんは。」


「こんばんは…」


さようならとさっき言ったばかりだが、また出会ったのだ。


それなら出会いの挨拶をと思った。


「暫く動かなさそうだよな。」


「そうですね。」


何となく繋いだ言葉だ。


だが、俺には言わねばならぬ事がある。


今日、否、もっと前から頑張って疲れている彼女が、こんな所で足止めくらっているのは俺のせいだ。


「滝沢、ごめんな。」


「何の事でしょうか?」


「やっぱり今日は早く帰った方が良かったから。」


「お手伝いしたいって言ったのはあたしですから。」


「でも、大分疲れてるだろ?」


「そんな事ないです。」

嘘だ。