あたしはまた溜め息をついた。


本日の溜め息の回数は、両手両足の指の数を遥かに上回っている。


一々数えてるわけではないが、何となく分かる。


あたしはシャーペンを置いて、放心したようにダランと腕を下ろした。


何かしてないと落ち着かないが、やってもろくに集中出来ない。


今度は目も閉じた。


深く息を吸い、吸った分を全て吐き出した。


息をする度に、 何かが近付き、何かが遠ざかる。


近付いてくるのは、きっと大事なものだ。


同時に、遠退くのも同じぐらい貴重なものだ。





あたしはノートを閉じた。


注意が漫ろな時に何かしても上手くいかない。


何もしないでおこう。


何も考えないでおこう。


そうだ、時間が来たらまた動き出すのだ。


それまでいいじゃないか。