それから帰るまでは悩み通しだった。


これは早く家に帰って準備を始めるしかない。


改札を出て、家に向かう。


普段ならもう外は真っ暗なのに、初夏の夕方はまだ昼のように明るい。


とはいうものの、太陽の高さは大分低くなった。


もうすぐオレンジ色になりそうな、でも青い空の下、あたしは一人で帰っていた。


授業をするクラスは幾つかある、でもやるのは一つだけだ。


間に合うかもしれない、そんな可能性があたしの携帯電話を動かした。


電話に出てもらうまで何も考えなかった。


「もしもし?」


「もしもし、真幸?
えっと…今いいかな?」