妃奈はあの頃のあたし達よりもずっと大人だ。
実年齢も精神年齢も、妃奈は大人だ。
純粋で聡い自慢の妹に、あたしが口出しする時代は終わった。
否、最初からなかったのかもしれない。
だが過去に戻る事は出来ない。
「妃奈…」
心配で心配で堪らない。
たとえ不安が雪のようにシンシンと積もったとしても、あたしがすべきは幸せを祈り見守る事。
それだけだ。
あたしはしゃがんだ。
何があっても妃奈はきっと北条昴しか愛せない。
だから、今度こそ二人が本当に幸せになれますように。
あたしは何処かで落ちただろう流れ星に願った。