馬場さんは人形のように動かない。


あたしをじっと見ている。


返事を待っているようだった。


「でも馬場さん…」


プリントや小テストの採点をよく手伝っていたので、信じる事が出来なかった。


確か、良い成績ではなかった。


「…テストでもわざと間違えてました。」


「どうして…」


「だって、苦手な方がかまってもらいやすいから…
得意だと、難しい事しか聞けないじゃないですか。
でも苦手って事にしておけば、基礎的な事から難しい事まで何でも聞けるし、苦手な方が成績上がった時に誉めてもらえるし…
その方が都合良いなって。」


あたしは少し怖くなった。


あたしは自分が彼女と同じ年齢だった頃を思い出す。


北条先生を好きだった親友は、良い成績を取って、もっと勉強して近付こうとしていた。


みやびちゃん以外にも、そんな子は沢山いた。