放課後の職員室から出たあたし達は、人通りのない階段の踊り場に辿り着いた。


そこで馬場さんが止まり、あたしの方を向く。


真っ直ぐな瞳は、あたしを捕らえて逃さない。


「滝沢先生、」


「何?」


「先生っていうのは、よく出来る生徒と、あんまり成績良くない生徒とだったら、どっちが好きですか?」


「どっちって言われても…」


これには凄く困った。


「どっちが好きとかないし、どっちでもない子も好きだよ。」


「北条先生もそうなんですかね。」


「そうだよ。」


「…強いて言えば、本当に好かれるのってどんな子ですかね?」


「…」


あたしは本当に困った。


考えた事もなかった。


「あたしはよく分からないけど、北条先生ならどんな子も好きなんじゃないかな?」


「生意気な子でも?」


「きっとそうだよ。」