「馬場ちゃん!」


嫌そうな顔をした馬場ちゃんが振り返る。


彼女は俺を睨みつけると、また反対方向を向いて歩いていこうとした。


「ちょっと待てよ!」


俺は軽く走って彼女の元へ行った。


「…何?」


彼女は決して視線を合わせない。


「俺が言った通りでしょ?」


「…まだ確定してない。」


「ちょっとぐらい俺のこと信じろよ?」


「…」


俺は心の中で溜め息をつく。


「見ただろ?
俺が来た時、彼奴若干嫌そうな顔してただろ?」


嫌そうな顔といっても、今の彼女のようなあからさまなものではない。


人の気持ち読み取るのが上手い奴しかきっと気付かないだろう。