北条先生はゆっくりと話し始めた。


「滝沢は…玲奈から俺らの学校のことなんか聞いてる?」


「皆賢くて、凄く真面目だと聞いておりますが。」


「そう。
俺らの時はそうだし、実習に行ったクラスも皆そうだったんだ。
だけど、皆こっちを睨んでくるんだ。
俺それで怯んでしまって、自己紹介の時名前言うだけで汗出てきた。」


「意外です。」


「かもしれないな。
それで一礼して顔上げても、まだ全員が俺のこと睨んでるんだ。」


「それはその…失礼かもしれないですが、北条先生が緊張なさってたからそう感じたのではないのでしょうか?」


「違うんだ。
俺の行ってた高校ってそんなんなんだ。
あの学校で頭良い奴は、基本教師より頭良いから馬鹿にしたりしてた。
もう教師実習生とか大半の生徒から馬鹿にされるからな。」


「え…でも北条先生は先輩にあたるんじゃないんですか?」


「そうだけど、あそこの学校出て先生なるやつってあんまり賢い人いなかったから。」


彼の苦笑いが少し見えた。