自信を持つ。


自分でも分かっているつもりだ。


だが持てないものは持てないのだ。


「はい。」


彼の手前そう言ったはいいが、それでも様々な不安が残る。


こんなあたしに、教師という仕事が務まるのだろうか?


「北条先生、」


「なんだ?」


「北条先生が教師になる前の気持ちって、どんな感じでしたか?」


「俺の?」


「はい。」


「そうだな…
教育実習の時は、先生になるのが怖かった。」


「怖かったんですか?」


「あぁ。
滝沢はC組の生徒を見た時どう思った?」


「どうって…模範的な生徒達だなって思いました。」


彼等はきっと、チャイムがなると同時に席について北条先生を待っていたはずだ。


授業中の態度を見ていても、彼等が優秀である事は伝わってくる。


「そうか…
俺が実習生の時は、まず生徒が怖かった。」