「みやびちゃんに話して良かった。」


「本当に?」


「うん。
あたし、真幸と幸せになる。」


そうだよ。


あたしは“北条昴”っていう殻から抜け出したんだ。


そして大切な人に出会えたんだ。


だけど…


今日の彼を思い出すと、心臓がトクトクと煩い。


まるで真夏の蝉のようだ。


これが人生の罠なのだろうか?


「そうそう、晩御飯作って置いてあるよ。」


みやびちゃんが立ち上がった。


「本当!
ありがとう!
もうお腹ペコペコ!」


あたしも立ち上がった。


まぁいいや。


あたしが好きなのは真幸なんだから。