「今日は荷物が多かったから久しぶりに乗ったんだ。」


「どうして毎日車で来られないんですか?」


信号が青に変わった。


車はまた動き出した。


「車は乗りすぎると環境に悪いだろ?
あと…」


「?」


「電車だとさ、色んな人に会えたり見れたりするだろ?」


あたしは彼が何を言いたいのかが分からなかった。


毎日個性豊かな生徒や教師達に関わっているじゃない。


そう思った。


「俺は職業柄沢山の若い子達と接するけど、俺と同年代の人や年上の人にはそういう所でしか殆ど会えないんだ。
会うって言っても会話するわけじゃないけど。
学校って、意外と社会から隔離されてるからな。」


「そうなんですか?」


「所謂会社に勤めてる人とかとはやっぱり違うと思う。
俺は教師しかしたことないから分からないけど、電車の中で見てるとそう思うんだ。」


そんな話をしていると、何だか先輩と話してる気分になった。


そして改めて自分の未熟さに気付く。