辿り着いたのは駐車場だった。


暗くてよく分からないが、彼がポケットから何かを取り出したかと思うと、ピッという電子音が響いた。


と同時に左斜め前の車が光る。


彼とあたしはその車の前まで来た。


また先程のような電子音が鳴ると、車の後方のドアが開いた。


「どうぞ。」


「…ありがとうございます。」


あたしが中に乗り込むのを確認すると、彼も車に乗った。


「今年の春に買ったんだ。」


彼はそう言うとエンジンをかけた。


「じゃあまだ新品同様ですね。」


「あぁ。」


動き出した車は校門を出た。


「…でも先生、この前電車で帰っていましたよね?」


「いつもは乗って来てないんだ。」


環境に良いだろ?と言った彼は、赤信号を前に車を止めた。