背中を押してあげたい気がした。
だが、もし彼女が自分の想いを伝えた所で、彼が彼女の気持ちを受け入れないのは一目瞭然である。
それに、金曜日に彼女に言ったように、あたしの立場からはそれは出来ない。
「それであたし…」
「?」
彼女はまたあたしの方を見て言った。
「もっと積極的になろうって思えました。
それに…嘘付くのも止めようって思います。」
「…嘘?」
「実はあたし、」
「妃奈!」
振り返れば阿紗子が走ってこちらに向かっていた。
「どうしたの?」
「ちょっと人手が足りなくなっちゃったから手伝って!
お願い!」
「分かった。
すぐ行くから、」
「どうぞ。
行って下さい。」
馬場さんがこちらを見て言った。
「…ありがとう。」
あたしは阿紗子と一緒に体育館の方に向かった。
抵抗しなかったのは、これが急用だからか。
それとも、彼女に対するイメージを壊したくなかったのか。



