「妃奈!?」


あたしは首を右に回した。


「阿紗子!?」


そこには高校時代の友達がいた。


山野阿紗子、高校二年生の時の同級生である。


お互い違う大学に行ったあたし達は、高校卒業後はあまり会う事がなかった。


メールもするし、年賀状も毎年送り合っていたが、会うのは本当に久しぶりであった。


確かに、彼女は前に先生になりたいと言っていた。


その事を思い出し、今こうやって会えた事に、ただただ喜びが募っていった。


阿紗子は少し変わった。


あの頃よりも清楚なイメージが強くなった。


手入れが行き届いた漆黒な黒髪が妬ける。


「妃奈、見ない間に大分変わったね。」


「そう?」


「うん。
なんか大人っぽいし品があるし…とにかく良い方向に変わった。」


その言葉を聞き、あたしは笑った。


「あたしも阿紗子と同じような事考えてた。
清楚な感じだなって。」


「そう?
前はどんな感じだった?」


「ギャルだったよ。」


「そうだっけ?」


そんな会話と共に、あたし達は階段を登った。