わざわざ連れて来てもらった場所は病院の中庭らしくお花や木が植えられていた。



ここで目が覚めた時から深瀬さんや先生にナースさん達以外と会っていなかったせいなのか、他の入院患者を見た瞬間に何故だか安心感が芽生えていた。



「深瀬さん・・・ここって?」



「一応はリハビリ用の庭なんだけども使ってないから、今ではただの花壇になってる」



庭の中心に大きな木が青々とお生茂り、周りの綺麗に手入れされた花壇の花たちによってもっと大きく見える
患者さんらしき人たちが設置されたベンチに座って本を読んだりお話をしていたり・・・



この庭は病室に篭っているときの自分を嫌でも見つめ直さなければならない苦痛のための場所ではなかった。
真逆の何も考えずにただ時間だけが流れていく、そんな安らぎの場所だと感じる



「なかなか夜になると寝付けないって聞いたから・・・」



「深瀬さん。ありがとうございます
すごく気に入りました」



改めてお礼を言うと彼は照れ臭そうにふんわりと笑った。
いつもは堅物みたいに無口なのに、照れる所のギャップが似合わなくてわたしも笑ってしまった