「あ~、やっぱり南ちゃんだ。久しぶりだね南ちゃん。……ほらもっと顔見せてよ南ちゃん」
母さんはみーちゃん、もとい八幡の顔を両手で挟むとグイッと持ち上げる。
無遠慮なそれに八幡も多少は抵抗するがあまり効果はない。
ちなみに僕は普通に唖然としている。仕方ない事ではある。
「……あにょ。おひしゃしぶりでしゅが、そにょ。はにゃしてもらってもいいでしゅか?」
あの。お久しぶりですが、その。離してもらってもいいですか?
だと思う。一応通訳はしておいた。
あの体勢はキツそうだから、多分、本気なんだろうな。
母さんは南の願いを聞き入れたのかそれとも飽きたのかは知らないけど、両手から南を解き放つとすぐさま南は自分の鞄を掴み立ち上がった。



