「お邪魔しまーす」と誰もいないがハツラツとした挨拶が真っ暗な僕の家に響き渡る。


特に案内はしないが八幡は迷うことなく僕の部屋へと入っていく。


僕はと言えば嘆息を吐きながらリビングと台所の電気を付ける。


明るくなった我が家から闇が駆逐される。


冷蔵庫から買いだめされている缶コーヒーを二本手に取り部屋に戻る。


部屋では八幡が既に電気を付け、ベッドに腰を下ろしていた。


今は違うが昔、隣の部屋に八幡家は住んでいた。


だから八幡は別段、僕の家で何かに迷う事はない。


電気のスイッチの場所も僕の部屋も。八幡は既知なのだ。


でも僕の部屋も昔とは様変わりしている。


八幡も「へぇ~」と声を漏らしながら部屋を見回していた。